La ville de soie

 

2年前、2018年の夏頃までの1年間、フランスはリヨンという場所に留学していた。

リヨンはその昔絹織物の産地として栄えた街で、フランスでは現在でもパリに次ぐ2番目の都市として、また同時に食の都としても名高い。街の端から端まで1時間もすれば歩けてしまうくらいの規模感なのだが、2本の大きな川を中心に、街全体の雰囲気がパリとはまた違ってのんびりしたところとか、レストランのご飯が絶品でなおかつ比較的安価なところとか、文化施設やブティックも充実してるのに少し歩けば緑豊かな大きな公園があるところとか、とにかく住みよく、あの街で留学生活を送れたことは私にとってラッキーなことだった。

 

そんな絹の街リヨンでは、毎年「marché de la soie(絹織物市)」という、リヨンの絹織物アトリエの製品がならぶ一大イベントがある。色とりどりで、趣向を凝らした模様の絹織物が並ぶ景色は壮観である。「ジャポネズなの??昔はリヨン産の絹織物を高島屋に卸してたんだよ!」と話してくれたムッシュもいて、嬉しかったのを覚えてる。まあ、とは言ってもそんな高貴な絹織物、留学生のお財布事情で買えるわけもなく、、、友達と、欲しいよね、でも無理だよね、でもなんか欲しいよね、とブツブツ言いながら会場内をがめつく物色してたら見つけたのが、絹織物の端切れセット。大きめの端切れがなんと5種類入って20ユーロ!これは買いでしょう!と、バーゲンセールみたいなカゴに入ったアソートセットの山を漁る漁る、、、そして見つけたお気に入りのセットを手に、「この端切れで何か作ろう!」と意気込んでルンルンで帰ったのです。あれから2年、、、時が経つのは早いですね。実家に置いておいたら、いつの間にか綺麗な端切れのひとつがCDのホコリ避けカバーとして使われていたりしたが。この自粛期間中に一念発起して、ポーチを作ってみた。

 

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大きなポーチは私、小さなポーチは母のもの、である。裏地まで贅沢にリヨンの織物を使ってみた。裏地がピンクってのは我ながら可愛い。

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こちらは姉のために作ったもの。私が買ったアソートセットの中では一番どっしりと存在感を放つ生地だったため、シンプルに。

 

あたためていた(半分忘れていた)生地をこうして日常使いできる姿に変えられて嬉しい。リヨンの思い出を持ち歩ける形にしたことで、なんだかリヨンでの出来事や、リヨンの友達といつも一緒にいる感覚もあって力強い。

 

お土産として製品を買うのももちろん好きだし楽しいけれど、自分が手を加えてひと手間かけることによって、もっと味わい深いものになるね。