映画PERFECT DAYSを見た

ヴィム・ヴェンダース作品ということで見たいと思っていたのと、もうそろそろ映画館での上映終わるなという予感もあり、すでに平日の上映は1日2回のみに減っていた金沢の映画館で。

 

パリ・テキサス』しかり『夢の果てまでも』しかり、長尺ロードムービーのイメージが強かったけれど、今回はあるトイレ清掃員の繰り返される日常の話。毎日早朝に起きて歯を磨いて植物に水をやり、古いアパートの前の自販機で缶コーヒーを買って車のカーステでカセットテープを聴きながら清掃現場へ向かう…同じ繰り返しの中でも毎日異なる天気や景色、木々や植物の様子、そして少ないながらもある人との関わり。昔のカセットや古本、フィルムカメラのある主人公の暮らしは、倹約しつつもそれなりに文化的で、清貧、という表現が適切かは分からないがそんな部類の清々しさもあり、映像作品としてとても心地よく上質なものだと感じた。

 

ただ、時折差し挟まれるホームレスや知的障害者などの社会的弱者とされる登場人物の描写(いろんなところで指摘されているように、主人公と決して深い関わりを持つ訳でも、その社会的な問題点に迫ろうとする訳でもない、ならば何故その演出の必要が?)や、主人公が清掃するトイレそのものが、有名建築家なんかがデザインした高級化された都市の公共施設であることに違和感を覚えた(アイロニーなのか?)。

 

なんとなくフワッとしちゃってるな〜という感想と、まあ映像と音楽がいいからそれでいいのか?という感想がせめぎあって、なんとも言えない感じだった。

ラストシーンのニーナ・シモン「Feeling good」と役所広司の顔芸(これはほんとに凄いと思った)で全部持ってかれて、なんか、いや、いいけどさ〜〜〜これでいいの〜〜??って感じで気付いたらエンドロールの約2時間だった。

 

あれでよかったのか、いまだによく分からない。